はじめてセーラーの「プロフェッショナルギア(Professional Gear)」――通称プロギアを選ぶ人へ。
見た目は似ていても、使い心地は「サイズと重さ」「持ち歩きか机中心か」「インクの入れ方」「字幅」でしっかり差が出る。
この4つの軸にそって、Standard/Slim/Realo/Slim Miniの違いを一目でわかるように整理した。使う場面を思い浮かべながら読めば、いまの生活に合う一本がすっと見えてくるはずだ。
本体比較
プロフェッショナルギア Standard|太めで落ち着く、机向きの一本
持つ部分が太めで、手のひらにしっかり収まる。机にひじを置いてゆっくり書くと線が安定し、文字が整いやすい。ふだんはキャップを外したままでバランスがよく、後ろに付けても大きくは崩れない。重さは中くらい。長時間でも力を抜きやすい。
インクはカートリッジとコンバーター(吸入器具)に対応。まずはカートリッジで始め、色を楽しみたくなったらコンバーターを足せばよい。
- 特徴:太め・中くらいの重さ/机で腰を据えて書くのが得意
- 向く場面:日記・カード・宛名書き
プロフェッショナルギア Slim|細くて軽い、毎日持ち歩く相棒
細くて軽い。指先の動きに素直についてきて、立ったままのメモでも書きやすい。キャップを外して使うと軽快で、後ろに付けると少しだけ後ろが重く感じることがある。胸ポケットや小さめのペンケースからの出し入れもスムーズで、外出が多い人に向く。
こちらもカートリッジ/コンバーター対応。外ではカートリッジ、自宅ではコンバーターで色替え、といった使い分けもしやすい。
- 特徴:細身・軽量/立ちメモや速記に強い
- 向く場面:手帳・ノート・移動中の記録
プロフェッショナルギア Realo|インクを本体に吸い上げる吸入式。長文に強い
見た目や握りはStandard寄りだが、インクは本体に吸い上げる吸入式である。胴体に小さな窓があり、残量を目で確認できるので、手紙や原稿などの長い文章でも安心だ。キャップを外した状態で落ち着きがあり、書き始めから終わりまでリズムが安定する。
カートリッジやコンバーターは使えない点だけ覚えておきたい。洗うときは常温の水にひたし、つまみを回して水を出し入れする動作を数回くり返せば十分(分解は不要)。
- 特徴:太め・中くらいの重さ/残量が見える/吸入式専用
- 向く場面:レター・原稿・まとまった筆記
プロフェッショナルギア Slim Mini|最小・最軽量。「後ろに付けて」ちょうどよい
シリーズでいちばん小さくて軽い。キャップを後ろに付けて長さを足す前提の設計で、そうするとふつうの万年筆に近い持ち心地になる。外出先で思いついたことをすぐ書く、という役割にぴったりだ。
インクはカートリッジ専用。差し替えだけで運用できるので、荷物を増やしたくない日にも向く。
- 特徴:最小・最軽量/後ろに付けて使う前提
- 向く場面:短いメモ・小型手帳
- 注意:長い文章は手が疲れやすい
ペン先と字幅
素材の違い(14金/21金)
- 14金(Slim/Slim Mini):軽やかに走る。立ちメモや素早い筆記に向く。
- 21金(Standard/Realo):紙への当たりがやわらかく、線がふっくら。ゆっくり書く時間に向く。
字幅の基準(EF・F・M)
- F(細字)=まずはこれでよい。手帳、ノート、カードまで守備範囲が広い。
- EF(極細)=とても小さい文字や細かい欄に。紙によっては少しかりっと感じることがある。
- M(中字)=読みやすさ重視。はがきや手紙で文字の輪郭がきれいに出る。
迷ったらFから始める。ふだん書く「いちばん小さな文字」を思い出し、それより細いと厳しい/太くする分には許容、で考えると決断が早い。
用途別おすすめ
毎日の手帳・ノート(内外どちらでも)
Slim × F。軽く、立っても座っても扱いやすい。外出の相棒にしやすい。
家で日記・カードをゆっくり
Standard × F/M。太めの握りと中くらいの重さで、筆圧を抜いても線が安定する。
長文・レターが多い
Realo × F/M。吸入式の大容量と残量表示の窓で、途中の不安がない。
とにかく最小装備で外出
Slim Mini × F。短いメモ中心に特化。必要なときにすぐ出して、すぐ書ける。
手が大きめ・しっかり握りたい
Standard優先。握る面が広く、長時間でも疲れにくい。
手のサイズと「持ち姿勢」の合わせ方
- 手が小さめ:細い本体が収まりやすい → Slim/Slim Mini
- 標準サイズ:どちらも許容 → Slim → Standardの順で試すと決めやすい
- 手が大きめ:面で支えると楽 → Standard/Realo
- 書きグセで選ぶ:速く走らせる人は軽い本体(Slim)、止め・はね・払いを丁寧に出したい人は安定重心(Standard/Realo)
- キャップの後ろ付け:短いメモは付けて長さを足す、長文は外して軽く保つ。これだけでも疲れ方が変わる
よくあるQ&A
Q. まずカートリッジとコンバーター、どちらを選ぶべきか。
A. Standard/Slim/Slim Miniは最初カートリッジで十分。色替えしたくなったらコンバーターを足す。Realoは吸入式のみで、カートリッジ/コンバーターは使えない。
Q. 14金と21金、どちらが「正解」か。
A. 使い方で選ぶ。軽快=14金(Slim系)/しっとり=21金(Standard/Realo)が目安。
Q. メンテはむずかしい?
A. 常温水で月1回の水洗いでよい。コンバーターは「吸って→吐く」を数回、Realoはつまみを回して水を出し入れ。分解は不要。
Q. 仕事(会議・商談)でも使える?
A. 本記事はオフ時間での使用を前提。業務中の大量筆記は油性ボールペンと分けると運用が楽だ。
Q. ギフトで選ぶなら。
A. Slim × Fの定番色が外しにくい。相手が長文派ならRealoも候補。