机の上に黒い軸を置いたとき、ふと目を引く白い星。
モンブランの万年筆には、「書く」という行為を超えた物語がある。
中でも定番とされる146と149は、どちらもクラシックな姿を守り続けているが、手にした瞬間の印象は大きく異なる。
ひとつは軽やかに日常へ寄り添い、もうひとつは象徴として堂々と存在を示す。
「毎日のノートに馴染むのはどちらだろう?」
「贈り物にするなら、より記念に残るのは?」
そんな迷いを抱くときにこそ知っておきたい、モンブラン146と149の違いと比較をここにまとめた。選ぶ時間そのものが、少し特別に感じられるはずだ。
目次
モンブラン146と149、まずは基本の違い
サイズと重さの比較
モンブランを代表する黒い軸は、どちらも同じ「マイスターシュテュック」の意匠を受け継いでいる。
ただ、実際に手にしてみると、146と149の違いははっきりと感じられる。
- 146:
標準サイズで、手にすっと馴染む一本。万年筆に慣れていない人でも扱いやすく、ノートや日記に自然と使える軽やかさがある。 - 149:軸もペン先も堂々と大きく、「モンブランといえばこれ」と呼ばれる象徴的なモデル。存在感は抜群だが、初めての人にとってはやや大きすぎると感じることもある。
ペン先の存在感
モンブランの魅力は、熟練の職人によって仕上げられる14金または18金のペン先にある。
149はその面積が大きく、持っているだけで堂々たる風格を放つ。
一方、146はやや小ぶりで、細かな文字や扱いやすさを重視する人にとって安心感のあるサイズだ。
どちらを選んでも、筆跡にはしなやかさと弾力が宿る――それこそがモンブランらしさである。異なるのは、その「表情の大きさ」である。
モンブランのペン先は14金または18金。柔らかさと耐食性に優れているため、長く使っても錆びにくく、書くたびに少しずつ手の癖に馴染んでいく。“自分の書き癖に育つ道具”であることが、万年筆の醍醐味である。
インク吸入方式の違い
146・149はいずれも「吸入式」と呼ばれる方式で、軸全体にインクを取り込む仕組みになっている。
カートリッジ式に比べると少し手間はかかるが、そのぶんインク容量が多く、長く書き続けられるのが特徴だ。
149は胴軸が太いため、インク容量もたっぷりとしており、じっくりと手紙や原稿を書く人に向いている。146は容量こそやや控えめだが、日常使いには十分な量を備えている。
瓶からインクを吸い上げる瞬間、ペン先がゆっくりと色をまとう――。その小さな儀式は、ただ文字を書く以上の楽しみを与えてくれる。インク容量の多さだけでなく、「書く時間そのものを大切にする」ために、モンブランは今も吸入式を守り続けている。
キャップと持ち歩きやすさ
どちらもねじ込み式キャップを採用しており、しっかり閉まる安心感がある。ただし、149は胸ポケットに差すとやや大きく存在感が出すぎるため、持ち歩きにはあまり向かない。一方、146はスリムで鞄にも自然に収まり、携帯性を重視するならこちらに軍配が上がる。
見た目と印象で選ぶなら
デザインに宿る物語
漆黒のレジンに浮かぶホワイトスター(白い星)。遠目からでも一目でそれとわかる149は、机の上に置くだけで空気を変えるほどの存在感を放つ。
一方、146は控えめながらも上品で、持つ人の日常にすっと溶け込む。
キャップ天冠の白いマークは「雪の結晶」ではなく、ヨーロッパ最高峰の山・モンブランの頂に積もる雪を表している。黒い軸に白が映える姿は、“山の象徴”そのもの。149が「頂点のモデル」と呼ばれるのも、この由来を知ると自然に感じられるだろう。
ギフトシーンでの選ばれ方
贈り物として選ぶなら、146は万能だ。初めての万年筆としても扱いやすい大きさで、相手を選ばない安心感がある。
一方の149は、節目の一本として選ばれることが多い。退職記念や昇進祝いなど、人生の大切な場面に「これぞモンブラン」と言える存在感を贈りたいときにふさわしい。
こんな人には146、こんな人には149
146がおすすめな人
- 初めてモンブランを持ちたい
- 毎日の日記や読書メモに使いたい
- 持ち歩いて気軽に使いたい
149がおすすめな人
- モンブランの象徴を手にしたい
- 特別な一本を節目に選びたい
- 机に置いて“存在感”を楽しみたい
モンブラン 146と149の比較表
モデル | サイズ感 | 重さ(目安) | ペン先 | インク容量 | 向いている人 | 印象・存在感 |
---|---|---|---|---|---|---|
146(ル・グラン) | 標準(約146mm) | 約26g | 小ぶりで扱いやすい | 標準容量 | 万年筆を日常使いしたい人 | 控えめで上品、万能 |
149(マイスターシュテュック) | 大型(約149mm) | 約32g | 大型で堂々 | 大容量 | 節目の記念や象徴性を求める人 | 堂々として象徴的 |
まとめ|迷ったときの決め方
- 生活の中で自然に寄り添うのは146
- 持つこと自体が誇りになるのは149
どちらを選んでも、白い星を見つめたときの誇らしさは変わらない。机に置いたその瞬間から、いつもの時間が少しだけ豊かに感じられるはずだ。